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―ログルシア―



月が完全に昇ってから少し経った頃

ある一箇所が急に騒々しくなった。

サイレンが鳴り、ライトが辺りを照らし、人が叫ぶ。

「おい!囚人が逃げたぞ!捜せ!!」

一人の迷彩服の男が叫ぶ。

「チッ、よりにもよって半獣人かよ。奴は俺らなんかじゃ相手にならん!麻酔銃を使え!!」

そう男が指示した瞬間


ギャァァァァァァアァァァ――!!


一つの叫び声が響いた。

一瞬、水を打ったように静かになり、直ぐにあちこちで指示が飛ぶ。

「いたぞ!」
「眠らせろ!」
「外すなよ!!」


辺りは一際騒々しくなる。
叫び声の方へ人が走って行く。


カサリ。


その時、近場の草むらで何かが蠢いた。

一人の男がそれに気がつき
「お…。」
他の男に知らせようとするも頭が薙がれ「人間だった物」き変わる。
胴と頭が離れ鮮血が飛ぶ。

その男の隣にいた男は肩から血しぶきが飛び、足下には腕が落ちていた。



「ッ、ギャァァァァァァアァァァ――!!」

アォ――――ン…


全てが



一瞬の



出来事だった



叫び声が響き、すぐ近くでは獣の遠吠えも響き、月が顔を出した。



月の光で現状が露わになる。地面には「人だった物」が倒れ、腕が落ちているその隣りには肩を押さえ激痛にのた打ち回る男がいて、その正面には、
獣なのか、
人なのか、
判断がつかない
まるで

人と獣を足して二で割ったような



―バ ケ モ ノ ―



それがいた



鎖がついていたであろう手足の枷がジャラリと独特の金属音が鳴る。
引千切ったのだろう少し鎖がついている。



それは、月の方を一瞥すると目を細め、身を翻すと後にあるフェンスを破りまだ明けない暗闇の中に消えて行った…。






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