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『賢く』

 

 


『美しく』

 



『お淑やか』

 



そんな淑女三拍子を揃えた姫様は国のシンボル。
そんな姫様が消えてから11年……、私も姫様と同じ17歳になった。

 

「あーあ、私も今日で17かー。」


「なんだレイリーン、随分と嫌そうだな。」


「当たり前じゃない。」


「?だって『DP』に参加できるだろう?」


「それが嫌なの。」


通称『DP』正式名称は『Destined Princess』
姫様がいなくなった11年前から毎年17になった乙女(処女)は姫様候補として試験を受けなくてはならないという規則ができた。
この規則は絶対で逆らえば国外追放は免れないだろう。
いや、それなら良いほうかも……、最悪極刑かもしれないし。
それに、私たち人魚は14、5歳が嫁ぎ時。17歳は所謂、嫁ぎ遅れなのだ。そのため、DPに出るという事は、まだ嫁いでないですよー。と公言するようなもので、恥なのだ、恥。
隣で喋っている幼馴染のシンドゥルーイにだってシャロンという奥さんがいる、15歳の。しかもトビっきり可愛い。こんな平凡グラフまっしぐらの男には勿体ないくらいだ。


「それに、あれは姫様の変わり身。ただの人形と一緒じゃない。」


そう、所詮この試験は姫様の変わり身を探すこと。
姫様として会議に出たり(座ってればいい)、年に1度のお祭りで国民に歌を聞かせたり(口パクでいい)、要は姫様はちゃんとこの国にいますよ。と、国民を安心させるため。
そして、他の国に飲み込まれないための、示しでしかない。
そんな試験嬉々として受けたがる娘達の気持ちがわからない。
2、3年前の試験では男が女装して受けたという話も聞く。勿論、その男は国を追い出された。
その時はさすがに耳を疑った。そんなリスクを背負ってまで受けたいものだろうか…。

 

「まあ、言われればそうだよなー。シャロンに受けさせなくて良かった、うん。」


そう、言って、シャロン、基奥さんの惚気話を語ろうとするシンドゥルーイに一発入れようと構えた瞬間


「あら、でも特典はかなり魅力的よ。」


「……ヴェレーナ。」

いきなり聞こえてきた声に後ろを振り向けばもう一人の幼馴染がいた。
そう、彼女が言ったとおり特典はかなりおいしい。
姫様の変わり身といっても王族の一員になるのだ。
しかも、国王である女王の娘。
王位継承の第一位になるのだから、正真正銘「時期国王」だ。
その代わり色々な制約がある。
マナーに言葉使い、挨拶の仕方なんかは勿論、手の振る角度なんかもやらされる。


「でも、好きなところに行けなくなるし、家族や友達にも会えなくなるのよ?」


そう、王族になるということは今までの家族、友人を捨てるということ。
勿論、家族にはそれ相応のモノが与えられるらしいけど…。


「あら、それでも家族を養えるのだから良いじゃない。」


「………私はイヤ。」


ヴェレーナはそう言うけど、私は家族やシンドゥルーイ、ヴェレーナ達に会えなくなるのは絶対にイヤだもの。


「はぁ、……レイリーンも馬鹿よね。」


いきなり溜息をつかれて罵倒されても反応に困ってしまう。
しかもバッサリと言い切られた。
……うん、こうグサッとくるよね。


「いきなりそんなこと言われても……。」


「バカよ。あなたは、バカ。大馬鹿者のレイリーンよ。」


「そんな何回も……。」


そう言いつつ彼女の前じゃ語尾が小さくなっていく自分が情けない。
今、毒舌を披露している彼女は、ヴェレーナ。
たぶんこの国で一番モテているんじゃないかと思われる女性だ。
パッと見、スレンダーに見えるが出てるとこ出て、引っ込んでいるとこ引っ込んでる無駄ない所謂ないすばでぃな体型、肌は病的な白さではなく程よい感じの白さ、それにゆるくウェーブのかかった腰まである黒髪が良く映える。
そしてその色気といったら、お前は本当に私と同じ17歳なのかと思ってしまうくらいだ。
例えるならあれだ、黒髪のヴィーナスといったところだろうか。
そんな彼女なのだから言い寄られている数は少なくない。
15歳を過ぎてもその数は減るどころか、増えているくらいだ。
そんな彼女が誰とも結婚せず純潔を守っているのはあの『DP』に出る為だったりする。


「そんなに『DP』に参加するのがイヤならなんでさっさと結婚しなかったのよ。」


そう正論を言われてしまえば言葉に詰まってしまう。


「そうだよなー。【歌姫】のお前ならいくらでも縁談があっただろ。」


さらに、シンドゥルーイにまで同意された。
く、屈辱……。


「そりゃあ、そんな感じのものはあったけど……。」


「あったけど?」


「彼が好きなのは歌っている私であって、私自身ではないもの。」


ある時から不本意ながら【歌姫】と呼ばれるようになった私にも確かにそんな感じのものはあった。
でも、


「歌っている私しか知らない人と付き合いたくなんてない。」


そうハッキリと断言するとヴェレーナは呆れた顔で、シンドゥルーイは驚いた顔でこっちを見ていた。


「……何よ。」


「いやいや、案外ちゃんと見てんだなー、と思って。」


「私が世間知らずだとでも言いたいの?」


そうニッコリと笑ってシンドゥルーイに向かって再び構えると、頭をクシャッと撫でられた。
それに、思わずヴェレーナの方を向く。


「ま、あんたの好きにすれば良いんじゃない?まだ『DP』には一応半年あるんだからさ。」


「……そうだね。」


思わぬ行動に、さっきの怒りはどっかに吹っ飛んでしまった。
でも、なんだかんだ言って心配してくれる二人に嬉しくなって、クスリと笑った。


「どうしたの?」


「ううん、何でもないよ。……私ね恋をするなら『人魚姫』みたいな恋がしたいんだ。」


唐突に話し出した私に二人は今度はいきなりどうした、といった顔で見てくるのがますます可笑しくてクスクスと笑ってしまう。
 

「だってね、泡になってもいいと思うくらい愛し合うのって素敵じゃない?」


そう言って二人にね?、といえば二人とも呆れたような顔をしていた。
………夢ぐらいみったていいじゃない。


「何処かの遠い国の物語の『人魚姫』。そのお話みたいに泡になってもいいと思うくらいの恋をしてみたいじゃない?」


そう言った時の二人の微妙な顔はずっと消えない気がした。


――――――――――――――――――――――――――――――――――
書き直したー!!
といってもあんまり変わってないという事実…
でもこうしないと、次が、次が書けない・・・!!
きっと今度は「GOD children」あたりを書き直す予定。
あ、リンクにはってある「行動制限」が今度からの新しいブログです。
「奈落のマーメイド」は引っぺがしちゃってください。

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―海の世界から姫がいなくなった―



その出来事は当然、全ての海で騒がれた。

太平洋を中心として広がっている海で一番大きな王国『セレトリアス』の姫様がいなくなったのだから。

王国の端の方に住んでいた幼い私はどこかの風の噂でそう聞いては母様に

「なんで姫様は居なくなっちゃったの?」

そう聞いた覚えがある。

考えてみれば幼い子供の小さな疑問とはいえ少々酷な質問だったかもしれない。




だって




姫様は




人間に恋をするという




禁忌を犯したのだから。





―――――――――――――――――
人魚姫をベースにした物語にしていこうかなと。
キャラクタープロフィールみたなのは後々。


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